2008 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ文学におけるエスニシティ(ethnicity)の地政学的研究
Project/Area Number |
17520173
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 久男 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (30039135)
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Keywords | エスニシティ / 地政学 / 中西部 / モリスン / ファレル / ヘミングウェイ / ジェイムソン / デュヴォル |
Research Abstract |
本研究は、フレドリック・ジェイムソンの地政学(Geopolitics)という文化概念を援用して、人種(民族)と地域との複合的な絡まりを究明することによって、アメリカ文学におけるエスニシティ表象の特徴を明らかにすることを目指したもので、平成17年度は「ニューイングランドを含む東部地域を中心にした準ワスプの作家たち」、平成18年度は、「南部を中心にしたアフリカ系アメリカ人作家たち」、平成19年度は、「現代ネイティヴ・アメリカン文学の先駆的作家たち」の特色を考察した。 本年度は、上述の研究成果を踏まえて、残された地域である中西部を活躍基盤とする作家たちを研究対象とした。具体的には、その地政学的特徴や歴史的背景を究明し、それをもとに、オハイオ州出身のアフリカ系アメリカ人のノーベル賞作家トニ・モリスン、シカゴを物語化したカトリック作家J.T.ファレル等、アメリカ社会でエスニック・グループとして周縁化されている作家に焦点を合わせ、比較のための背景幕としてワスプ作家であるアーネスト・ヘミングウェイやシャーウッド・アンダソンの文学を使った。同時に、本研究課題であるエスニシティ表象と地政学の連関性という観点に近い分野で活躍しているインディアナ州のパーデュー大学のジョン・N.デュヴォル教授、ネブラスカ大学カーニー校のプレーリー研究所のチャールズ・A・ピーク教授や、ヴァージニア大学のハロルド・H.コルブ名誉教授を訪問し、研究成果のレヴューを受け、意見や情報を交換する行うことができた。そして本年度には運良く、エスニシティ表象にも関係のあるプリンストン大学コーネル・ウェスト教授が5月に来日して、広島女学院大学で講演をした際に意見交換も行って、本研究の妥当性を確認できた。
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Research Products
(3 results)