2005 Fiscal Year Annual Research Report
エスニシティの新たなる地平:アメリカ文学における新しいユダヤ性
Project/Area Number |
17520176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
新田 玲子 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (40180674)
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Keywords | アメリカ文学 / ユダヤ系作家 / エスニシティ / ポストモダン / ホロコースト / ウォルター・アビッシュ / ユダヤ性 / 第二次世界大戦 |
Research Abstract |
今年度は現代ユダヤ系アメリカ人に広く大きな影響を与えているホロコーストについて、ポストモダンとの結び付きから考察し、特にホロコーストがポストモダン作品にもたらした倫理的影響に着目した。 例えば、ジャック・デリダやエマニュエル・レヴィナスといったポストモダン哲学者における倫理性がホロコーストと深い関係を持つという先攻研究を踏まえ、同様の倫理性がウォルター・アビッシュのポストモダン的作風を特徴付けていることを彼の長編小説を中心に分析して明らかにした。その成果はアメリカ・エスニック文学研究会において発表し、発表内容を『アメリカ・エスニック文学研究』に掲載すると共に、処女作Alphabetical Africaについてさらに詳細に分析した研究内容を英文で『英語学英文学研究』に投稿した。 12月の末には渡米し、まずミネソタ大学で新しいユダヤ系作家に関する資料収集を行い、ついでニューヨークに赴いて、ウォルター・アビッシュ本人にインタビューを行った。彼には先にメイルで上述の研究内容を送付しており、その内容を見てもらったうえでいろいろな質問に答えてもらっている。帰国後、インタビュー内容は文書に起こし、現在発表場所を探しているところである。 渡米の最後にメアリーランド大学のジョナサン・アウアーバック教授らとも意見交換を行い、今後の研究活動に関わる重要な助言を得た。 来年度は、アウアーバック教授の助言などをもとに、今年度の結果を国際会議において発表したいと考えている。そのため、2月に入ると、来年度のMLAにおいて発表の機会を得れるよう働きかけを行い、現在発表レジュメを提出して審査を受けている最中である。 また、来年度からポール・オースターの研究を付け加えたいと思っている。オースターに対しても直接インタビューを行いたいと思っているが、最初予定していた筋を通して行うことが不可能となったため、新たな手段を模索するために3月半ばに大阪のアメリカン・センターに赴いた。
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Research Products
(2 results)