2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520184
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
園井 千音 Oita University, 工学部, 准教授 (70295286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園井 英秀 九州大学, 名誉教授 (00069709)
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Keywords | ロマンティシズム / 国家意識 / 道徳的主題 / 公共的性質 / 20世紀イギリス文学 |
Research Abstract |
本研究では研究課題「イギリス文学における国家意識と道徳的主題の研究」において特に17世紀から20世紀までのイギリス文学に関して文学が様々な国家的危機、精神的危機においてその芸術的機能を果たすのみならず重要な社会批評を行うことにより、国家意識の構築に重要な役割を果たしてきたことを分析し、このようなイギリス文学における公共的性質がイギリス文学固有の道徳的社会的特質であること、また特にその構築的性質の重要性を証明した。平成19年度は前年度までの研究をふまえ、主として18世紀〜20世紀イギリス文学を中心に検証した。具体的には、コールリッジ、サウジー、ワーズワース、その他の非国教徒のロマン派詩と散文における文学的記述と英仏戦争、イギリス植民地政策、イギリス社会改革運動の影響関係を分析し、イギリス国家意識とその社会的政治的思想的背景の関係を纏めた。また19世紀以降のイギリス文学における宗教的思想的危機、20世紀初頭における精神的混乱などのイギリス国民意識の低迷期を検証のポイントとして標記課題と道徳的主題の形成との関係を調査研究した。具体的には、ヴィクトリア朝思想、20世紀初頭戦争詩、ロバート・グレイブズ、P.ラーキン等の作品分析及びモダニズム等の思想的背景の分析をした。本年度は研究最終年度であるため、研究の総括を行った。その結果、17世紀〜20世紀初頭のイギリス文学における文学的記述における道徳的性質がイギリスの国家意識形成において構築的役割を果たすこと、またイギリス文学の公共的性質はその道徳的宗教的主題により特徴付けられることを明らかにした。 この研究結果はさらに科学研究費助成による「イギリス文学における文化形成と宗教的主題の研究」(平成20年度〜平成22年度終了予定)において、特に18世紀以降のイギリス文学における文学的記述とイギリスの文化意識形成との関連を明らかにする。
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Research Products
(3 results)