2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケンブリッジ大学における学生演劇文化と地方人脈の研究
Project/Area Number |
17520211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
井出 新 フェリス女学院大学, 文学部英文学科, 教授 (30193460)
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Keywords | 英米文学 |
Research Abstract |
研究初年度にあたって、次の二点に注意をして研究を進めた。すなわち(1)全体的な概要を把握するために、1570年代初頭から1590年代初頭までにケンブリッジで上演された演劇、或いはケンブリッジ出身学生が執筆した演劇について広く調査し、とりわけRichard Legge, Edward Forcettの作品の分析をはじめた。その一方で(2)ケンブリッジ大学と距離的にも人脈的にも非常に関係が深いノリッジという地方都市に焦点をあて、ノリッジ出身のRobert Greene, Nathaniel Woodesといった大学出身の劇作家と大学関係者との人脈的な繋がりを追った。そのためNorfolk Record Officeにおいて以下の史料を調査した。 ・NCR, case 24A & 25 Great hospital Accounts ・NCR Case 20a Quarter Sessions minute books ・NRS MS 23372 その結果、彼らがノリッジ市の市会議員の庇護を受けて大学進学し、或いは就職先を斡旋されるなどの恩恵を得ていたことがわかった。とりわけ実績を上げたのは、Robert Greeneに関する調査である。彼の出自や大学進学の経緯は今まではっきりとしなかったが、今回の史料調査で出自だけでなく市議会議員の庇護のもとに大学進学をした可能性が裏付けられた。この結果は、"Robert Greene Nordovicensis, the Saddler's Son"という論文に纏め、現在イギリスのジャーナルに投稿審査中である。またNathaniel Woodesについても、彼が強い地域コネクションのもとで劇を執筆していた状況証拠を把握することができた。この結果については"Nathaniel Woodes, Protestant Martyrlology, and the Regional Politics of Norwich in the 1570s."という論文を執筆中である。
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