2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケンブリッジ大学における学生演劇文化と地方人脈の研究
Project/Area Number |
17520211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
井出 新 フェリス女学院大学, 文学部英文学科, 教授 (30193460)
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Keywords | 英文学 |
Research Abstract |
今年度の研究においては次の二点に注意をして研究を進めた。すなわち 1.Robert GreeneとNathaniel WoodesというNorwich出身の劇作家たちに見られるNorfolkを中心とした同郷出身者の交友関係を昨年度に続いて洗い出した。その結果、両者に関する新しい史料を発見し、ノーフォーク出身学生がKent出身のChristopher Marloweに対して持っていた敵対意識について、おおよその構図を把握することができた。 Greeneに関する研究成果については、"Robert Greene Nordovicensis, the Saddler's Son"として纏めNotes & Queriesにおいて発表した。またWoodesに関する研究成果については現在海外ジャーナルに投稿中である。 2.Gabriel HarveyをモデルにしたEdward Forcettによる大学劇Pedantiusを分析した。とりわけ大学で始まったと思われるHarvey兄弟諷刺の流行についてさまざまな大学生活の位相から検証するために、ケンブリッジ大学のSt John's College及びPembroke Collegeの古文書館において以下の手稿本史料に関する調査を行った。 (1)St John's College a)St John' College Archives, SB4.2(1575-1600)"Rentals" b)JCA, K.16(336), Edward Forcett, Concio ad Concionatores. (2)Pembroke College Pembroke College Archives Max: 1557-1642(Treasury Accounts). Pedantiusを巡るHarvey兄弟諷刺の流行については現在も調査中であるが、その結果の一部を「パルナッソスからケンブリッジへ」という論文にして『シェイクスピアとその時代を読む』(研究社)に発表した。その調査によって現在明らかになってきていることは、必ずしもすべての学寮についての調査ではなく、政治家と繋がっている特定学寮の特定メンバーに関する深い調査が必要とされているということであった。
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