2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代化の過程における女性表象の諸相に関する比較文学的研究
Project/Area Number |
17520221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平石 典子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (20293764)
|
Keywords | 明治文学 / 近代化 / エクゾティシズム / 女性表象 / 女学生 / 宿命の女 / 新しい女 / 日比谷公園 |
Research Abstract |
本年度は、「「近代化」と女性表象におけるエクゾティシズム」について研究を進めた。 まず、急速な近代化に直面した東京という都市に着目し、近代都市東京が露呈した、伝統的な町並みと西洋建築の混在と混沌が、「エクゾティック」なものとして文学者に受け取られていく様子を考察した。そして、夏目漱石の『虞美人草』や谷崎潤一郎の「秘密」の分析から、そのような場所としての東京にふさわしい存在として、19世紀末にヨーロッパで流行した"femme fatale"、「宿命の女」のような、やはり「エクゾティック」な女性表象が選び取られていくことを明らかにした。その成果が、学会発表"Tokyo as Labyrinth : the mixture of modernization and tradition in modern Japanese Literature,"(Paper presented at the Workshop on Modernity and the City, University of Sydney, 20 May 2005)及び、筑波大学特別プロジェクト報告書掲載論文である。 また、「近代化と女性表象」に関しては、研究協力者であるシドニー大学のIshii助教授及びTipton教授と、豪州日本研究学会の全国大会でパネルを組むことができた("Contradictions : The Image of Women in Modernizing Japan,"Panel with Elise Tipton and Kazumi Ishii, JSAA 2005, University of Adelaide, Adelaide, 4 July, 2005)。そこで論じた「女学生」について、近代都市東京の象徴である「公園」に結び付けて論じたものが、近代文学言語学会の国際大会での研究発表"Schoolgirls strolling in the Park : Representations of"New Women"in modern Japanese Literature,"(Paper presented at the FILLM/AULLA 2005, James Cook University, Cairns, 18 July 2005)及び、シドニー文学美学会の学会誌掲載論文である。
|
Research Products
(2 results)