2006 Fiscal Year Annual Research Report
身体性を軸とした中国近現代文化史構築のための超領域的研究
Project/Area Number |
17520222
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 陽一 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (40241921)
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Keywords | 大山子芸術区 / 上海ビエンナーレ / 中国現代アート / ポスト・モダン / 政治的アート / ビデオ・アート / 古典の再構築 |
Research Abstract |
今年度も研究計画に従って、現代アートを中心に中国現代文化の研究をすすめた。まず4月に北京「第三回大山子国際芸術節」、9月に「第六回上海ビエンナーレ」を詳細に調査した。結果、現在の中国現代アートの大まかな動向を把握することができた。よく言われることではあるが、商業中心の町上海では、政治中心の北京とは全く対照的なことが起こる。上海ではとっくに商品化を終えた政治的アートが、北京ではまだ批判される、という現象だ。中央のお膝元では制約が多い、その分、抵抗か馴致かという問題が浮き彫りにされてくる。上海ではすでに政治的アートの商品化、つまり当局との妥協は済み、あるいはそうした問題の所在を無視して、古典の再構築に力点が置かれていた。邱黯雄(チウ・アンシオン)は「山海経」甲凡(シェン・ファン)は「山水画」展望(ヂャン・ワン)は「仏像彫刻」、「仮山石」、管懐賓(グアン・オハイピン)は「古建築」艾未未(アイ・ウェイウェイ)は「染付磁器」をそれぞれ解体し、再構築させている。こうした作品が目立つことはポスト・モダン思潮と無関係ではあるまい。古代と現代、この二項対立では捉えられないものを思考し、見定めていくことが大切だろう。 ビデオ・アートにも大きな収穫があった。陸春生(ルウ・チュンション)や邱黯雄(チウ・アンシオン)の映像の卓越した構成カは今後一層期待されるだろう。これらの傾向は今後どのように展開されていくのか、継続して研究を進めたい。成果は学会での口頭発表、各種雑誌、単行本として発表した。
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Research Products
(5 results)