2006 Fiscal Year Annual Research Report
英仏影響下のモーリシャスにおける言語政策の変容と国民統合にみるその影響
Project/Area Number |
17520240
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
小池 理恵 富士常葉大学, 総合経営学部, 助教授 (80329573)
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Keywords | モーリシャス共和国 / 言語政策 / クレオール / モーリシャス語 / Virahsawmy, Dev / Collen, Lindsey |
Research Abstract |
多民族国家である「モーリシャス共和国」における言語事情を調査し、そこに見られる旧宗主国(フランスと英国)からの影響が、国民意識の変化に与えた影響を分析することを主たる目的とする。 モーリシャスが真の意味での国民統合を達成するためには、言語の問題を考える必要がある。その際、公用語としての英語、日常語としてのフランス語、あるいは母国語としての「クレオール」と呼ばれる言語がどのような位置づけであるかを調査する必要がある。それはモーリシャス人は「クレオールを話し、フランス語を読み、英語を書く」といわれているからであある。現在のモーリシャスは、多民族国家であるのみならず、多言語国家であるともいえる。 2001年から2003年の調査で明らかにしたように、1968年の独立後、VirahsawmyやCollenをはじめとする母国語としてのモーリシャス語確立に熱心な人々が、その表記法を定め、教育の現場で使用することを薦めてきた。しかし一方で、メディア(特に新聞)ではフランス語が主流であり、日常会話ではクレオールについでフランス語を使用している。 こうした状況において、本年度は政治的力、外交がどのように言語政策に影響しているか(あるいはしていないのか)をフランスにて調査した。その問題はアメリカの同時多発テロ以来注目されているインド洋上の米軍基地問題ともかかわってくる。現時点で英国から貸与した形で米軍基地として利用されてるガルシア島の島民たちは今でもモーリシャス本土で帰島できる日を待っている。英米に対しフランス側はこの状況をどのように見ているのか。それがどのように言語政策に反映されているのか、いないのかを調査することを目指した。フランスでの調査を踏まえ、モーリシャスでのクレオールを使用しての教育改革の進行状況を調査分析した。
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