2007 Fiscal Year Annual Research Report
英仏影響下のモーリシャスにおける言語政策の変容と国民統合にみるその影響
Project/Area Number |
17520240
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
小池 理恵 Fuji Tokoha University, 総合経営学部, 准教授 (80329573)
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Keywords | モーリシャス共和国 / 言語政策 / チャゴシアン島民強制移住 / クレオール / モーリシャス語 / Virahsawmy, Dev |
Research Abstract |
1968年イギリスからの平和的な独立後、多民族・多文化が融和した安定した社会を築いてきたかに見えたモーリシャス共和国だが、支配層のインド系住民によるクレオール系住民への蔑視が原因で、2000年には暴動が起きている。また米軍基地に貸し出されているディエゴ・ガルシア島民の帰島問題も国際的な力を借りつつも解決しないままである。言語面においては、かつての宗主国の言語であったフランス語と英語を併用しつつ日常会話ではモーリシャス・クレオールを使用している。また教育問題においては、いまだ母国語としてのモーリシャス語の地位が確立されているわけではないことから、あくまでも英語での教育がなされている。しかしここ数年、私立の学校では、英語での教育では補いきれないドロップアウト組の生徒たちに、モーリシャス語を使用し補講を行うようになり、効果的な結果を得ている。これはヴイラソーミ氏が提唱してきた母国語による教育の実践の成果といえる。社会的な問題と言語的な問題は密接に関わっており政府が今後、「多様の中の統一」を目指すために、どのような政策をとるのかが、モーリシャスの将来を左右することになる。 本年度は、実施調査の仕上げとして、これからのモーリシャス政府の動向を概観するための聞き取り調査を実施すると同時に、これまでに実地調査で得た資料を分析し、その結果を国内の研究会(情報文化学会)にて公表し、東呉大学(台湾)では広くモーリシャスの言語事情と社会問題を周知すべく講演、意見交換を行った。
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