2008 Fiscal Year Annual Research Report
モン・クメール諸語間の統辞構造の差異に見る言語変化メカニズムに関する類型論的考察
Project/Area Number |
17520249
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤井 文男 Ibaraki University, 人文学部, 教授 (40181317)
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Keywords | 言語の類型 / 言語構造上の普遍性 / 言語の構造的変化 / 言語の類型的変化 / 言語接触 / クレオール化 |
Research Abstract |
今年度も昨年度に引き続き、インド・ジャールカンド州の州都Ranchi市周辺に於いて、インフォーマント・インタビューによる現代ムンダ語ナグリ方言の現地調査を中心として活動を展開した。今年度は本研究の最終年度に当たるため、通常の調査に加え、近い将来に慣行を予定している現代ムンダ語への語学導入書編纂に必要な、語彙を中心としたデータの収集にも努めたが、こちらの方は残念ながら時間切れのため、予定していた語彙の三分の2程度を収集するに留まった。成果刊行助成金申請に先立ち、何らかの機会を作って残りの語彙の収集と練習用ダイアログのためのデータを補完しておきたい。 ムンダ語口語に対する本格的な現地調査を始めて四年目になるが、それまでの研究対象が主に孤立語的性格の強い言語だったせいか、膠着語的特性に加えて若干の屈折も見られる、この言語の分析に最初は少なからず戸惑いも感じられたが、調査の回数を重ねる度にデータの取り扱いに慣れてゆき、特に今年度に実施した二回の調査では、それまでの調査では何度、試みても把握できず、結局、積み残さざるを得なかった、特に未来時制/話法表現で中心的に現われる構造的メカニズムに対する理解が急速に進み、この言語の示す文法構造のメカニックな特性の概要を明らかにすることができた。 来年度には、現代ムンダ語ナグリ方言に於ける、こうした特性について学術論文の執筆を通して成果を公開していくと共に、成果刊行助成金の申請前に、導入的語学書編纂の基盤を構築しておきたい。
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