2005 Fiscal Year Annual Research Report
呼びかけチャントのメロディー形式を決定する言語と音楽の「バトル」
Project/Area Number |
17520255
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
斉木 麻利子 金沢大学, 留学生センター, 助教授 (00195968)
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Keywords | 呼びかけチャント / 伝統音楽 / 日本語 / 東京方言 / 福井方言 / 韓国語 / ソウル方言 / 慶尚道方言 |
Research Abstract |
本研究は,アメリカ合衆国ラトガース大学準教授、Yung-mee Cho氏を海外研究協力者とし,平成17-18年度の2年間にわたって実施するものである。 本研究の目的は,言語と音楽の「バトル」という観点から,「日本語の福井方言,韓国語のソウル方言のような無アクセント言語に呼びかけチャント(Vocative Chant,以下VC)が存在し,さらにそのメロディーが一種類である理由」と,「同一言語内の無アクセント方言と高低アクセント方言(e.g.日本語の東京方言と福井方言,韓国語のソウル方言と慶尚道方言)が,特定の一種類のVCメロディーを共有している理由」を探ることにある。 この目的を達成するため,平成17年度には,福井方言と慶尚道方言の言語学的特徴(音韻論的特徴)の調査および韓国の伝統音楽の一般的特徴の調査を行った。(東京方言とソウル方言,日本の伝統音楽の一般的特徴の調査については,年度開始以前に実施済みである。)また,東京方言,福井方言,ソウル方言,慶尚道方言のそれぞれについて,ネイティヴ・スピーカーからVCの音声データを収集し,それを分析することにより,伝統としてのVCが持つ音楽的特徴を調査した。 これらの調査から得られた新たな知見の一つは,言語と音楽の「バトル」が,伝統音楽(特にVCを含む「となえうた」)のメロディーだけではなく,それに伴う独特のリズムに関しても繰り広げられており,その説明は,メロディーの場合と同様に,言語の音韻上の類型を考慮することにより可能になるということである。 平成18年度は,本年度の研究成果を論文にまとめる作業を行なう。また,学会発表という形で,研究成果の公表も行なう。
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