2007 Fiscal Year Annual Research Report
メンタルスペース理論に基づく仏英日本語の時制対照研究
Project/Area Number |
17520259
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井元 秀剛 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 准教授 (20263329)
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Keywords | メンタル・スペース理論 / 対照研究 / 時制 / スペース / 視点 / 過去形 |
Research Abstract |
平成19年度は当初の研究実施計画で提示した17年度のテーマ 1) 時制の転換と視点の移動についての継続的研究と、18年度以降のテーマとしてあげた 2) フランス語と英語の過去形および複合形に関する研究 3) 伝達文の時制に関する研究 4) BASEとV-POINTの移動に関する制約に関する対照研究 5) 時制とアスペクト、モダリティーとの間の相関に関する研究 という相互に関係する4つのテーマについて取り組んだ。下記11に上げた「過去と仮定性」は1)と5)に関するもので、主として平成18年度に行われたものである(内容の概要については昨年度の実績報告書にて報告済み)。「日本語の視点、英仏語の視点」は平成19年度のもので、3)と4)に関するものである。内容は平成18年度にたてた仮説「日本語では従属節の時制を決定する基準点V-POINTが主節のEVENT時に移動し、そこからの相対的時間関係に基づいて時制を決定するのに対し、英語フランス語ではあくまでも主節と同じ位置にあるBASE/V-POINTからの位置によって定まる」に立脚し、具体的な翻訳例について、日本語では現在形、英仏語では過去形で表現されている種々の例がこの仮説で説明が可能なことを示した。 さらに、その後上記2)の研究を進めている。特に従来から多くの議論が重ねられてきたフランス語の半過去について、従来の定説であった「未完了アスペクト」という属性について再考し、必ずしもその通りであるとは言えないことがわかってきた。半過去の本質は動詞の概念的属性提示にあり、未完了アスペクトはその一つのあらわれにすぎないという主張を今後展開することになる。この成果は共同研究プロジェクト2007として来春発表予定である。
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