2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代フランス語における事態の主観的把握の方策の研究
Project/Area Number |
17520260
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
春木 仁孝 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 教授 (00144535)
|
Keywords | 単純過去 / 複合過去 / スキャニング操作 / 主観性 / 範疇化 / 認知言語学 |
Research Abstract |
2006年度に発表した「自伝における過去形の用法について-Barbaraの自伝における単純過去-」での考察をさらに発展させて、他の資料からの例も加えて、複合過去との対比の上で用いられた単純過去の機能をスキャニングという観点から分析して論じた論文「Ce fut ma premiere rencontre avec le passe simple.-スキャニング操作と単純過去-」を言語文化研究科の紀要『言語文化研究第33号』に査読を経て採用され、掲載された。論文の内容を関西フランス語研究会でも口頭発表をして、他の研究者達とも内容について議論して、さらにアイデアを深めることが出来た。 以上の研究を元に、他の自伝的な資料における単純過去の使われ方について、現在も調査を行っている。昨年度の論文で示唆した、現代フランス語における単純過去の機能の特化による文法化を考えるためにも、古典的な文体における単純過去の有り様をもう一度検討しておくために、そのような文体で書かれた自伝的作品における単純過去と複合過去の用いられ方について、現在用例の収集と分析を行なっている。 また、当初の計画にはなかったが、事態の主観的把握に関連して再帰構文受動用法におけるモダリティーおよび、拘束的及び認識的モダリティーの区別などについての考察を、「フランス語の再帰構文受動用法におけるモダリティーについて」という論文にまとめ、さらに発展させたものを日本フランス語学会の例会で口頭発表した。この問題についても現在、研究中である。
|