2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナイル諸語の通時的研究-ナイル語比較語彙集の作成-
Project/Area Number |
17520262
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
稗田 乃 Tokyo University of Foreign Studies, アシア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90181057)
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Keywords | ナイル諸語 / 歴史言語学 / クマム語 / アフリカ言語学 |
Research Abstract |
アラリカ、ウガンダにおいてクマム語(西ナイル語)の現地調査を行った。クマム語の音声学、音韻論、形態論、統語論について詳細な記述研究を行った。とくに音声学ならびに形態音韻論において超分節的要素であるリズムが果たす役割について明らかにした。それに伴い、従来の西ナイル語研究においては不明であった母音の音韻論的長さの対立を初めて明確にすることに成功した。これにより従来の西ナイル語についての記述の曖昧さを訂正することになる。また、この研究が以後の西ナイル語の記述のスタンダードとなる。この成果についてはパリで開催された国際学会「第10回ナイル・サハラ言語学コロキアム」で発表した。 また、クマム語の声調体系を明らかにすることに成功した。これについては、20年度の「大7回日本ナイル・エチオピア学会学術大会」で発表した。従来の西ナイル語についての記述研究は、声調に関する包括的研究が欠けていた。この研究により西ナイル語の声調についての研究が飛躍的に発展することが期待できる。20年度に声調の情報を含むクマム語の語彙集を出版する予定である。 バイロイト大学に保存されているナイル語資料の掘り起こしを行った。ドイツには研究者が個人レベルで残した言語資料が存在している。それらを誰にも使用可能なものに公開すること将来の研究を発展するために必要であると考えられる。そのための将来の課題であるネットワーク作りを含めた資料の掘り起こしである。
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