2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の引用助詞と形式名詞の発達-文法化、主観化、間主観化の過程
Project/Area Number |
17520277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 亮子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (50306859)
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Keywords | 間主観化 / 主観化 / 文法化 / って / わけ / 引用助詞 / 形式名詞 / 歴史語用論 |
Research Abstract |
初年度はデータの拡充に取り組んだ。引用助詞(「って」)と形式名詞(「わけ」)に関して、過去に収集した用例に加えて、1700年代後半から現代まで話し言葉に近いとされている談話資料を更に追加し、用例を抽出しコンテクスト・構文・形態・意味機能など様々な角度から分析した。 その過程で、7月に国際語用論学会(IPrA)でパネル(和訳:日本語の歴史的変化-主観化と間主観化を中心に)を国内外の研究者と組み、引用助詞「って」の主観化・間主観化について口頭発表を行い、有意義なコメントを得た。そのパネルの成果をJournal of Historical Linguisticsの8.2号(2007年刊行予定)として発表するため、新たな分析を加えて自らの論文にまとめ、また小野寺典子氏(青学大)と共同で編集作業を進めている。 同じ学会の別のパネル(和訳:語用論から見た節接続)では指定討論者を務めた。フィンランド語、エストニア語などの研究者と、引用助詞を伴う節の歴史的変化について、自らの研究に関連させて意見交換した。その後フィンランド語の研究者と引用助詞の談話機能の変遷に関して共同研究をスタートし、06年2月に国内の学会にアブストラクトを提出した(4月結果通知予定)。 また05年8月には大野剛氏(アルバータ大)、岩崎勝一氏(UCLA)らと、現代の話し言葉(自然な会話)の書き起こし方、データベースの蓄積に関して、実践的な討論を行った。それをもとに現在、現代の会話のデータ(ビデオ)の書き起こし作業を進めている。 形式名詞「わけ」に関しては、主観化、間主観化のプロセスについて論文を執筆し、John Benjamins Publishing Companyから論文集として出版が確定し(Emotive Communication in Japanese. Satoko Suzuki編)、校正作業を待っている。
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