2005 Fiscal Year Annual Research Report
調音動作の組織化とプロソディ:英語における発音変異形の調音パラメタ音声学的分析
Project/Area Number |
17520278
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 光宏 日本大学, 経済学部, 助教授 (10256787)
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Keywords | 調音動作 / プロソディ / 発音変異形 / 調音パラメタ / 調音タイミング |
Research Abstract |
1 調音パラメタ音声学 話しことばを「調音体の動き」に基づいて動的に記述するための方法を体系的に考察し、調音パラメタとそれに基礎をおく接近法(以下、調音パラメタ音声学とする)の概要を明らかにした。発話中に規則的に変動する調音運動の言語学的・音声学的記述に利用可能なパラメタとして「喉頭,舌尖・舌端,舌背,軟口蓋,両唇,顎」を提案し、その有効性を日英語の発音現象の分析によって検証した。調音パラメタ音声学は、音声産出の中核となる調音タイミング、調音結合、基本的調音運動であるバルブ作用と声道形成作用に焦点を当て、それらの記述・分析を可能にするが、言語学的に有意義な調音パラメタには、普遍的なものと個別言語に独特なものとが存在することを暫定的な結論とした。 また,調音パラメタ音声学を音声学の教育プログラムに導入することの有効性についても考察した。報告者が実施した非形式的なアンケートによって、多くの学生(大学2〜3年生)は「ことばを話すことは漫画のひとコマのようである」というイメージを持っていることが分かった。話しことばの連続的性質を示す方法として音響スペクトログラムは印象的であるが、背景知識がなければ必要な情報を十分に理解できないことを指摘し、調音パラメタ音声学に基づく実践例を提示した。それは音声器官の基本知識に基づいて、単語や発話全体にわたる調音体の動きを図式的に示す練習である。調音運動を内省しながら分析的に図式化するので、特に外国語音声を対象とした場合、音声の自覚的運用や自立的な発音練習に結びつくことが期待できる方法であると結論した。 2 調音データ分析ソフトウエアの修正 調音データの分析に使用する(MATLAB【○!R】上で作動する)ツールのプログラムの修正と調音データの表示・解析機能の動作確認を、開発者(A.Wrench氏とN.Ngyen氏)と入念に行い、調音データの予備的分析の準備態勢を整えた。
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