2006 Fiscal Year Annual Research Report
調音動作の組織化とプロソディ:英語における発音変異形の調音パラメタ音声学的分析
Project/Area Number |
17520278
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 光宏 日本大学, 経済学部, 助教授 (10256787)
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Keywords | 調音動作 / プロソディ / 発音変異形 / 調音パラメタ / 調音タイミング |
Research Abstract |
1マルチチャンネル調音データベースの解析プログラム 本研究で利用しているマルチチャンネル調音データベースにおける調音データを解析するプログラム(MATLAB【○!R】を使用)の改良を、Alan wrench博士(Queen Margaret University College(QMUC))と共に行った。改良の対象としたのは、上・下唇のEMA(Electromagnetic Articulograph)調音データに関わるものである。従来のプログラムでは、上唇と下唇の活動データが別々に解析されていた。この解析機能を残しながら、上唇と下唇との距離の変化を解析できるプログラムを作成し、現在取り組んでいる英語L音に関わる調音分析への導入準備を行った。今後、引き続きLの発音変異形を対象として、調音動作の協調パタンの分析を実施する計画である。 2調音動作の協調パタンと発話速度 調音動作の組織化の理論において、重要な問題である「調音動作の言語学的位置付け」について検討するために、独自の実験計画を立案・実施した。実験では動的人工口蓋(EPG : electrophalatography)を利用し、日本語の硬口蓋音に着目して、2種類の異なる発話速度(normalとfast)で収録を行い、音韻的位置づけの違いに対応する調音動作の制御パラメタを特定することを試みた。硬口蓋音の調音では、舌の主要調音体と中部舌背(medio-dorsum)の時間的重複が音韻対立に対応しており、それは異なる発話速度において維持されることを示す予備的な実験結果を得た。このような結果は、調音動作は言語学的に有意義な情報単位であるという従来の主張を支持する一方で、調音動作の言語間差異を生み出す要因のひとつが、協調パタンとタイミングに求められることを示唆していると考えられる。この実験結果の一部は、平成18年度開催の国際学会で報告している。
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