2006 Fiscal Year Annual Research Report
認知類型論的観点からみたモダリティ研究-文法化のあり方をめぐって-
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17520279
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒滝 真理子 日本大学, 法学部, 助教授 (20366529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 新 お茶の水女子大学, 国際教育センター, 助教授 (10343170)
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Keywords | 認知言語学 / 日英語対照 / モダリティ / 文法化 / 語用化 / 言語類型論 / politeness / モノローグ |
Research Abstract |
1.「文法化」から「語用化」への進化の探究 まず、個別の文法化現象に見られる言語変化が談話の顕現法に反映されることを考察した。具体的には、特異な文法化経路を辿る日本語モダリティはepistemic modalityをプロトタイプとした体系であることから、日本語の可能表現の特異な意味機能を説明するに至り、その上で、モノローグ的な認識モードから対人機能を配慮したダイアローグ的な認識モードへと発達していくことを論じた。また、非多義的な日本語のモダリティ体系は敬語の使用行動に、多義的な英語のモダリティ体系はpoliteness表現に有機的に関連していることにも触れた。総じて、日英語モダリティの文法化の相違が、文法化の背後で認知的に動機付けられた話し手と聞き手の談話における振舞い方の差異に関連することを論考した。さらには、日英語のmodal-markerに共通する機能としてpolitenessの談話標識としてのdiscourse-markerがあげられる。それらを分析することで個別のモダリティ体系に反映されるpoliteness論を展開し、文法化の後期段階に観察されるといわれる「相互主観化」(Traugott and Dasher2002:40)を検討した。文法化という認知言語学とpolitenessという社会言語学とのインターフェイスの可能性を探った点で、本研究はsocial cognitionという新たな研究分野への貢献の曙光となり得よう。 2.認知言語学的観点からのモダリティ研究のレビュー 認知言語学的観点からみたモダリティ研究のレビューの進捗状況は未だ途上過程にある。今後は、モダリティ領域の多義の構造の個別言語にみられる見取り図を認知言語学的に提示してみたい。 3.認知類型論的観点からのモダリティ分析 日本語と類型論的に大きく異なる特徴を有する他言語との対照や、類型論的に非常に類似した言語との対照などを多角的に行うことで、日本語のモダリティの文法化の特異性を相対化させていった。例えば、個別言語にみられる特異な文法化現象が意味構造のあり方や成り立ちとも関連していることを考察した。その過程で、文法化には意味変化を伴わないものや、逆に文法化の伴わない意味変化もあることが明らかとなった。 以上の内容の研究成果は、研究論文を通じて公開した(裏面参照)。
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Research Products
(4 results)