2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代言語学理論における有標性:言語理論と言語獲得からのアプローチ
Project/Area Number |
17520282
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
村杉 恵子 (斎藤 恵子) 南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 泰明 南山大学, 人文学部, 教授 (40159447)
斎藤 衛 南山大学, 人文学部, 教授 (70186964)
鈴木 達也 南山大学, 外国語学部, 教授 (10206500)
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Keywords | 有標 / 無標 / 非対格動詞 / 複合使役動詞 / 動詞の獲得過程 / 文法獲得 / 普遍文法 / 生成文法理論 |
Research Abstract |
1.動詞の獲得についての有標性について 橋本-村杉コーパスに基づく予備研究において、幼児が、非対格動詞を他動詞として、また、複合使役動詞を他動詞として使用する「非対称性があることを観察し、Murasugi and Hashimoto 2004においてVP shell仮説に基づいて分析した。今年度は、橋本コーパスに基づき、非能格動詞や形容詞を含む述語一般に関する横断的研究を行ない、さらに、動詞の獲得過程と時制、文法格、NP移動の獲得との関連を明らかにした。また動詞獲得過程を既存の発話資料集やコーパスから例をとり、橋本コーパスでみたものと同様の発達段階を確認し、動詞獲得にみられる普遍的性質と日本語に固有の特徴とを区別した。とくに今年は日本手話についての検討を加えたことが大きな成果である。この基礎研究は、来年度以降の理論的研究の基礎をなすものである。 2.移動と削除の特性にみられる有標性について Murasugi and Kawamura 2004において、日本語スクランブリングが2才前後という極めて早い時期に獲得されていることを示した。本年度は、研究成果として斎藤および村杉が、スクランブリングと演算子移動とNP移動を比較検討し、日本語における移動の獲得について、総合的に考察し、論文を発表した。また、鈴木は受け身に関する移動現象において適用対象となる範疇についての非対称性について考察した。削除現象の一般的特徴についても、村杉が今後にむけて基礎研究として概観する本を執筆した。
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Research Products
(4 results)