2006 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本・日本海沿岸地域を対象とする角筆文献データベース作成に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
17520294
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 恵 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (60163010)
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Keywords | 角筆文庫 / 山形県 / 荘内藩 / 致道館 / 四書大全 / 四書五経 |
Research Abstract |
第2年次の平成18年度は山形県内の角筆文献調査を実施すべく、鶴岡市立図書館・郷土資料室所蔵の旧荘内藩校・致道館蔵書の文献調査を実施した。また、引き続き新潟県立文書館(新潟市)、諸橋徹次記念館(三条市)の調査を行った。県立文書館では、魚沼市(旧広神村)桜井家文書、新発田市(旧豊浦町)渡辺家文書を調査対象とした。なお、1996年11月1日より始まった諸橋記念館調査は、ちょうど10年目の2006年10月で無事すべての調査が完了した。 旧荘内藩校・致道館にはもともと約11000冊の蔵書があったようで、現在でも293文献の約6600冊が遣存している。現存本のほとんどは民間に流れ出ることなく、旧藩時代そのままに保存されていると推測されるため、江戸時代め藩校における角筆使用が如何なる状態であったかを知る、貴重な文献である。2006年11月から2007年2月にかけて3度の調査を行った。 現時点においては、経之部から史・制度・地理・子・兵書を経て集之部の『唐後詩』まで104文献2152冊、寄託部3文献174冊を加えて、全部で107文献2326冊の調査を終了したが、これは文献数で全体の36.5%、冊数で35.2%に当たる。このうち角筆は6文献で発見されたが、これは調査文献の5.6%である。子之部1点以外はすべて経之部(『四書大全』が2資料)で発見されたということは、やはり四書五経の類が最も多いことになる。 ちなみに、旧長岡藩校・崇徳館蔵書(長岡市立阪之上小学校所蔵)における発見率は6.9%とやや高く、また経之部(7.8%)よりも史之部(17.4%)の方が高かったので、藩校によって学問上の重点の置き方ぷ異なっていたことが推測される。 次年度以降も、全冊の調査を完了するまで、引き続き現地調査を実施する予定である。
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