2007 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本・日本海沿岸地域を対象とする角筆文献データベース作成に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
17520294
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 恵 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (60163010)
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Keywords | 角筆文献 / 山形県 / 庄内藩 / 致道館 / 秋田県 / 秋田藩 / 明徳館 / 藩士 |
Research Abstract |
第3年次の平成19年度は山形県内の角筆文献調査を継続したほか、新たに秋田県内の調査を実施した。また、新潟県立文書館において、新発田市の渡辺家文書調査を行った。 山形県調査では、鶴岡市立図書館・郷土資料室所蔵の旧庄内藩校・致道館蔵書の文献調査を完了した。全部で296文献、6909冊の悉皆調査を実施した結果、6文献(2%)から角筆を発見したが、これは旧長岡藩校・崇徳館蔵書における発見率6.9%に比して、極めて小さな数値であった。しかし、旧庄内藩士・黒崎家蔵書の42文献からは3文献(7.1%)辺見家蔵書の(調査終了分)13文献からは3文献(23%)が発見できたことを勘案すると、庄内藩で筆記用具・角筆が日常的に使用されていたことは間違いなく、その中で藩校・致道館の蔵書が極めて厳重に管理され、大切に使用されており、それがために藩校資料に角筆文献が少ないのではないかと推測される。 秋田県調査では、秋田市立中央図書館明徳館所蔵の旧秋田藩土蓮沼家文書と長瀬家文書の文献調査を実施した。藩校・明徳館の資料は、残念ながら散逸してしまったようである。蓮沼家文書・長瀬家文書調査は悉皆調査ではなく、経験的に角筆が発見されやすい資料を選定して行うという方法を採った。蓮沼家文書は400文献中102文献を調査したが、角筆は全く発見できなかった。これに対して、長瀬家文書においては学芸分野の85文献から5文献、これに平成11年の西村浩子氏による調査で確認されていた3文献を加えると、全部で8文献(9.4%)から角筆が発見されるという、極めて対蹠的な結果となった。同じ藩士であっても、家によって文献や筆記用具の取り扱い方にかなりの相違が見られることがわかった。ちなみに、長瀬家は一般藩士であるが、蓮沼家は上級藩士であった。
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