2008 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本・日本海沿岸地域を対象とする角筆文献データベース作成に向けての基礎的研究
Project/Area Number |
17520294
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 恵 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (60163010)
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Keywords | 角筆文献 / 青森県 / 津軽藩 / 稽古館 / 藩主 / 藩士 |
Research Abstract |
第4年次の平成20年度(最終年度)は青森県内の角筆文献調査を実施したほか、新潟県立文書館において、新発田市の渡辺家文書ならびに新潟市(旧白根市)の谷川家文書の調査を行った。青森県内の調査は、旧津軽藩関係の文献の大部分を所蔵する東奥義塾高校を中心とし、あわせて関係文献を所蔵する弘前市立弘前図書館の調査を行った。 このうち東奥義塾高校は948文献を蔵し、「奥文庫」「稽古館蔵」「弘前学問所」「弘道館印」「弘前藩学校」「軍事局印」などの蔵書印から推して、藩主から藩士まで、旧津軽藩関係者の様々なレベルでの角筆使用の実態、その全体像を明らかにする上で、恰好の資料を提供してくれるものと考えられる。9月と10月の2度、合計9日間で149文献の調査を実施し、そのうち13文献(8.7%)から角筆による書入を発見することができた。これは旧庄内藩校・致道館蔵書における発見率(2.0%)や、旧長岡藩校・崇徳館蔵書における発見率(6.9%)に比して、決して小さい数字ではない。 現時点までは、「稽古館」の蔵書印を有する文献からの角筆の発見はなく、幕末から明治初期にかけてと目される「弘前藩学校」「軍事局」「(旧)東奥義塾」の蔵書印を有する文献、あるいは藩主・津軽家の使用した「奥文庫」の蔵書印を有する文献から発見されたことは大きな特徴とされる。特に、藩主・津軽家の某が書き入れたと推測される角筆を発見できたことは、筆者の従来の調査にはなかったことであった。今後、全容を解明するための悉皆調査が望まれるところである なお、9月に2日間実施した弘前図書館調査では、全34文献中6文献(17.6%)の如く、かなりの高率で角筆の書入を発見することができた。こちらの調査も急務である。
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