2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代関西言語における条件表現の変遷原理に関する研究
Project/Area Number |
17520298
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
矢島 正浩 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (00230201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 敏夫 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60145646)
揚妻 祐樹 藤女子大学, 文学部, 教授 (40231857)
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Keywords | 近代大阪語 / 録音文字化資料 / 仮定表現 / 原因・理由表現 / 当為表現 / 文法化 / 落語 / 速記本 |
Research Abstract |
本年度は,昨年度行った近代大阪落語の録音文字化作業を継続的に実施し,その資料を用いて昨年に引き続き近代大阪語の条件表現について検討した。具体的な活動内容は次の通りである。 1.明治末〜大正初期録音の落語資料22演目について文字化を行った。昨年度作業分とあわせて54演目の録音文字化資料のうち,特に言語調査上,必要の度合いの高いものから16演目選んで詳細な聞き取り・確認作業を改めて実施し,研究成果報告書に掲載した。 2.落語の録音資料と速記本とを原因・理由表現の使用を通して比較した。その結果,近代大阪語においては,表現者によって同表現の使用には大きな傾向差があること,同表現の使用を指標とすることによって速記本「上方はなし」の速記者についての検討が可能であること,録音資料と速記本とを補い合うことで初めて見えてくる実態があることが明らかとなった。 3.〔様相〕表現としての特徴を持つ打消条件句及びラ変・形容詞を受ける条件句では,旧来の仮定表現である未然形+バ,仮定形+バを保持する傾向が強い。その事実関係について録音文字化資料を初めとする諸資料の調査によって明らかにした上で,その状況が生まれる理由について〔様相〕表現の特性から検討した。 4.当為表現をなす二重否定形式の打消条件句は強く仮定形+バを維持する傾向があるが,非二重否定形式の当為表現は,他の仮定表現と同様に形式が変化していく。その歴史的な事実を文法化の観点から解釈し,その推移の様相について打消条件句全体および条件表現全体との関係から位置づけた。
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Research Products
(2 results)