2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520303
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
狩俣 繁久 琉球大学, 法文学部, 教授 (50224712)
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Keywords | 琉球 / 八重山方言 / 比較歴史方言 / 波照間島方言 / 石垣白保方言 |
Research Abstract |
沖縄県石垣市白保集落は、1771年に発生した大地震と津波によって全滅し波照間島からの移住者によって再建されたが、両者の方言が同じ方言であることはよく知られている。しかし、233年間の両者の変化がどの程度か、変化はどんな面にあらわれているかについては明らかではない。本研究の初年度である本17年度には、八重山郡竹富町波照間島、および白保集落での臨地調査を各1回ずつの実施、あわせて、これまでに収集した波照間島方言の語彙資料のパソコンへの入力とデータベース化など研究のための基礎データの整備等をおこなった。これまでに研究代表者がおこなった波照間島の現地調査は、1987年〜1988年に実施したもので、約1000語の基礎語彙を中心に、動詞の活用体系を知るうえで基礎となる規則動詞15個と不規則動詞4個の代表形、否定形、過去形、第二中止形と、10個の形容詞などの簡単な文法事項を含んでいた。上記の調査、資料整理とはべつに、戦前に刊行された宮良當壯『八重山語彙』のなかから波照間島の語彙を抜き出す作業も開始した。 まず、臨地調査を実施して、代表者の1987年の調査時と比べて、現地の老人たちが方言を忘れてしまっていることに気づいた。方言の若い世代への継承が危機的であることもよく知られているが、方言を所有する年寄りの世代でも語によっては方言を忘れていっていることは深刻な問題である。その状況が本研究課題の結論に大きな影響をあたえないよう十分に配慮して研究をすすめていかなければならない。とりわけ、先行研究がすくなく、代表者自身が既存の調査データを所有していない白保方言の調査とそこから得られた資料を波照間島方言と比較するときに十分な配慮が必要であろう。また、白保方言の変容に大きな影響をあたえたと考えられる石垣島の中央方言である四箇(石垣、登野城、新川、大川の4字)方言について臨地調査の必要性を感じた。
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Research Products
(6 results)