2006 Fiscal Year Annual Research Report
節の配列形態に視点を置く日英語対照分析と英作文教育の質の向上への貢献
Project/Area Number |
17520316
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福地 肇 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (90015884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅川 照夫 東北大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (50101522)
小川 芳樹 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (20322977)
西田 光一 東北大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (80326454)
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Keywords | 英語 / 音声学 / 言語学 / 日本語学 / 認知科学 / 翻訳 / 統語論 / 意味論 |
Research Abstract |
研究計画2年目である本年度は、各研究分担者が初年度に個別に行った英語学・日本語学研究のうち、「複文構造の意味解釈およびメッセージの伝達」に関わる調査の成果を「表現形態から見た文法と英語表現教育の高度化」という視点から整理検討した。また、これと平行して、昨年度補助金で購入した言語・言語学関連の理論的文献を渉猟して、「日英語の統語構造と概念的意味構造の平行性と非平行性」「発話行為を含めた、複文構造によるメッセージ伝達」について、現時点における基本的な知見の確保と再整理作業を継続した。 これと平行して、浅川は、語彙意味論的手法および構文文法的手法を用いて、英語の不変化詞が動詞と共起することにより生じる述語的性質の分析を、結果構文研究の基礎の上に進めている。その結果、意味的な複合事象の統語的実現に関する一般的な法則性の解明と英語の二次述語を伴う節構造の分析に貢献している。小川は、生成文法の極小主義分析の手法を用いて、日本語の従属節内における動詞の単純現在時制の分布を調査し、日本語の複文構造と並列節構造の特徴を明らかにする作業を継続している。西田は、形式的には不定であるはずの名詞句表現が、語用論的な要因により意味的には照応表現として働く現象に着目し、それが統語上の複文構造と強い関連がありそうであるという予測を立てて、鋭意作業を進めている。研究代表者の福地は、3人の研究分担者と密接な連絡を取りながら、得られた知見を研究課題の視点の下で整理する作業を行っている。 また、British National Corpusなどの汎用英語コーパスからの検索作業、日本語の新聞・雑誌、インターネットからの用例収集にあたっては、大学院生5名の協力により、本年度分析用の資料を得ることができた。補助金の一部は、作業にあたった大学院生への謝金に充てた。これらの資料は、昨年度と同様、すべて研究代表者が目を通し、「日英語の節配列上のパラメータ」になり得るかどうかの認定をしている。 本研究課題は、「英作文教育の質の向上」という性質上、教室における実際の授業と教材作成と不可分に結びついている。研究代表者は、所属機関の大学および講義先において、大学生の英語表現力の調査を行った。今後この調査は今後組織的に行う必要があるが、研究課題設定の当初の予想通り、大学生の英語表現力の問題点の大きな点として、文産出時の節の配列が日本語の方法をそのまま使っている様子が見られた。 また、本研究課題は、指導する大学院生の研究テーマとも重なっている。18年度に研究代表者の研究室に所属する大学院生は、7件の研究発表をしたが、その内容は日英語の統語・意味構および語用論に関するもので、本研究課題の調査作業に参加したことが、各自の研究の進展に大きく貢献している。
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Research Products
(3 results)