2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520317
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤原 保明 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (30040067)
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Keywords | 英語 / 不定代名詞 / 通時的研究 / 語形 / 機能 / 語尾 / 複合不定代名詞 / 用法 |
Research Abstract |
本年度は1400年頃の散文Mandeville's Travels(以下、MT)と16世紀初頭のイギリスの詩人John Skeltonの詩(以下、JS)を主な対象として、これらの文献で用いられている不定代名詞の言語特徴の分析と考察を行なった。MTについては、不定代名詞と形容詞の用法が同一であることから、語尾-eの脱落過程の関係を中心に分析を進め、興味深い結果を導き出した。すなわち、たとえば不定代名詞manyの限定用法では、複数形の語尾-eは80%近くが脱落するのに対して、great,fair,goodなどの形容詞の限定用法では、この脱落は20%強にとどまっているが、このように際立った相違はmanyが「複数」を含意するという特殊性に基づく可能性があることなどを指摘した。一方、MTの形容詞は語尾-eの付加と脱落に関して、従来の一般化とは異なる制約に従っていることを明らかにし、それゆえ、中英語後期の語尾-eについては、「有標・無標の語形」および「有標・無標の語順」という新たな枠を設定して分析することの必要性を提案した。これらの事実の提示と新たな分析枠の提案は中英語後期の不定代名詞や形容詞の語尾の脱落過程の研究に寄与するものと思われる。なお、これらの研究成果の一部はすでに学会で発表し、論文としても公刊してある。JSについてはデータを抽出し、目下分析中であるので、近々結果を公表する予定である。
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Research Products
(3 results)