2006 Fiscal Year Annual Research Report
談話における右方移動構文に関する総合的研究-関連性理論、認知文法による考察-
Project/Area Number |
17520322
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (00136623)
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Keywords | 右方移動構文 / 重名詞句転移構文 / 外置構文 / 焦点化 / 倒置構文 / 関連性理論 / 認知文法 / 認知語用論 |
Research Abstract |
本研究では、右方移動構文のうち、とくに重名詞句転移構文の適格性条件について、(i)情報構造の観点(高見1995a, b)、(ii)統語解析の観点(Hawkns 1994)、(iii)「文法的複雑性」と「情報価値」の観点(Arnold et al.2002)を検討し、(i)-(ii)の問題点を指摘した。さらに、(iii)の妥当性について、筆者が英字新聞、雑誌等から収集した例文をもとに検証し、Arnold et al.(2000)の主張は、原則的には極めて妥当なものであることを明らかにした。 これまで重名詞句転移構文を巡る研究では、重名詞句それ自体の統語的特性や、意味的・機能的特性、及びいわゆる「飛び越される要素」の統語的「重さ」が主として論じられてきた。しかし、重名詞句の後置については「飛び越される要素」の統語的「重さ」だけでなく(Huddleston and Pullum(2002:1383))、重名詞句が担っている「情報の重要度」をも考慮しなければならないことを明らかにした。例えば、Serena ousted early MELBOURNE (AP) Outplayed from the start, defending champion Serena Williams was beaten 6-1,7-6(7-5)Friday in the third round of the Australian Open by Sloakia's Daniela Hantuchova. (The Daily Yomiuri, Jan.22,2006)では、相対的に軽いby句が後置されているが、これは文中で重要な情報を担っているからである。 また、統語的「重さ」、及び情報の重要度ともに高い重名詞句であるにもかかわらず右方移動されていない例について、後置されない理由を分裂文の機能的特性の観点から分析した。すなわち、右方移動されて分裂文となった例と比較し、Prince(1978)の主張するInformative-Presupposition It-cleftが伝える「話者の責任回避」という機能的特性が関与していることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)