2005 Fiscal Year Annual Research Report
語学と文学の「接点」から「共有」への深化:18世紀に辿る小説の言語を媒介として
Project/Area Number |
17520328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
脇本 恭子 岡山大学, 教育学部, 助教授 (00258295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 信哲 岡山大学, 教育学部, 教授 (50116498)
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Keywords | 英語学 / 英文学 / 英語文献学 / 文体論 / 表現としての文法 / 文脈が語る言葉の奥行 / 音楽性と意味の相互依存 / 18・19世紀 |
Research Abstract |
平成17年度は、「語学と文学の「接点」から「共有」への深化:18世紀に辿る小説の言語を媒介として」を研究課題とする新規の科学研究費の交付を受けた初年度である。研究代表者の脇本は、18世紀の喜劇であるGoldsmithのShe Stoops to Conquer(1773)とSheridanのThe Rivals(1775)を資料に、主に「誓言(oath)」について、性別・階級など社会的要因から生じる言語の差を指摘しながら、論文の形にまとめていった。また、今回の研究課題を具体的に検討するための第一歩として、Emma(1815)の第二章冒頭部の一節を取り上げ、研究分担者の福永と共に、片や語学的観点から、片や文学的観点からの分析を行うことで、18世紀から19世紀への文学の橋渡しの役を担ったJane Austenの文体を吟味・考察した。尚、この論文の刊行は、来年度(平成18年度)初めの見込みである。 同じ作家の限られたテキストを共通基盤として、その言語を英語学と文学の眼で比較考量してみてわかったことは、言語という生成発展している生き物をダイナミックに捉える文献学的な見方と作品世界に表現された価値の鑑賞は、不可分一体のものであり、お互いが相手の方法と見方を取り入れることにより、生きた言葉の流動性と奥行について感受性を磨きあうことができるということであった。異なるアプローチが相照らしあうことを、先に述べた二つの論文で確認できた。この成果を元に、今後18世紀から19世紀に至る英語の展開を手探りしていくつもりである。
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Research Products
(1 results)