2005 Fiscal Year Annual Research Report
言語変化と複雑適応体系-英語の史的発達とネットワークに基づいて
Project/Area Number |
17520337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tsurumi Junior College |
Principal Investigator |
小倉 美恵子 鶴見大学短期大学部, 総合教育, 教授 (60074291)
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Keywords | 言語拡散過程 / 言語淘汰 / 言語ゲーム / 多義語 / ネットワーク / 複雑適応体系 |
Research Abstract |
1.言語変化の伝播と社会的ネットワーク 言語拡散過程、つまり言語淘汰による変化と言語ゲームによる変化の拡散過程と、社会的ネットワークの関係を英語史上からのデータとシミュレーションに基づいて調査した。シミュレーションをすることで、多様な現象の背後にある法則を明らかにすることが可能となり、言語変化の拡散による複雑適応体系をより明確にすることができた。調査の結果次のことが明らかとなった。 (1)機能的、社会的影響が弱いほど、言語変化の拡散過程に及ぼすネットワーク構造の影響が大きくなる。 (2)機能的、社会的影響が強いほど、言語変化習得は範疇的となり、機能的、社会的影響が弱いほど、言語変化習得は確率的となる。 (3)ある限られた領域内では、変化に関わる人口数の大小に関わりなく、変化の速度は一定である。 成果は、14th International Conference on English Historical linguistics (Bergamo, Italy)で発表する。 2.英語の語義のネットワーク体系 現代英語と古英語をデータに用いて、動詞の語義相互間におけるネットワーク体系、特にスモールワールドネットワークを明らかにした。まず、WordNet, OEDに基づき、現代英語の動詞24778語義について、同義語、多義語、頻度、最終例の情報を盛り込んだデータを作成した。次にA Thesaurus of Old English, OEDに基づき、古英語の動詞について同様のデータを作成した。これらのデータを基に、現代語、古英語の動詞の語義間の距離を、単義語のみの場合、単義語に多義語を加えた場合について計量し、単義語に多義語が加わることによりスモールワールドネットワークが形成されることを明らかにした。さらにスモールワールドネットワークを形成する上でもっとも重要な要素は語の頻度であることを膨大な例に基づいて実証した。
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Research Products
(2 results)