2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本語教育における地域語の指導法の開発および教材の作成
Project/Area Number |
17520359
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
本田 明子 立命館アジア太平洋大学, 言語インスティテュート, 助教授 (80331130)
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Keywords | 方言 / 地域語 / 意識調査 / 日本語学習者 |
Research Abstract |
本研究は、地方で学ぶ日本語学習者に対する日本語教育における「地域語」の扱い方を考え、必要な指導法と教材を開発することを目的とする。 昨年度は、学習者の方言習得に関する意識を調査するとともに、地域住民の方言使用実態を知るためのデータを収集した。具体的には23名の調査対象者に数回にわたり、自由な会話をしてもらい、その様子を録音し、インタビューとアンケート調査により、方言の使用意識を尋ねた。 研究2年目の今年度は、意識調査の分析と、録音したデータを文字化、分析を行っている。 現在までの分析によると、調査対象の大分・別府地域在住者は方言に対し、以下のような意識をもっている。 1.方言の使用頻度 「ときどき使う」「よく使う」をあわせて回答者(23名)の半数、「あまり使わない」「まったく使わない」が半数となっている。 2.方言の使用相手 家族や親しい人、友人という回答が多く、打ち解けた関係の相手と会話するときに使っている。また、相手をリラックスさせたいときという回答もみられ、方言が相手との距離を縮める機能を有するという意識があることがわかる。 3.大分の方言についての意識 方言は暖かい感じがするという意識がある一方で、方言を使うと答えた回答者のなかには、大分の方言についてはきつい感じがする、女性は使わないほうがいい、けんかをしているようだという否定的な見方も少なくない。 昨年度の学習者に対する調査では、方言を勉強したいと答えた学習者の多くが、方言は相手との距離を縮め、親しくなるためには方言を使ったほうがいいと感じていた。ところが、方言話者へのインタビューによる意識調査では、一般的な方言に対するいい印象とは別に、自分の方言についての否定的な見方があり、その方言を日本語学習者が使うことに必ずしもいい印象をもたない傾向がみられた。 現在、都市圏在住者のなかでは、「方言おもちゃ化」現象など、自分の方言以外の方言を使うことが肯定的にとらえられているようだが、地方における外来者の方言使用については、それとは異なる観点からの考察が必要であろう。
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Research Products
(1 results)