2006 Fiscal Year Annual Research Report
言語文化教育素材としてのテクスト種ウィット-その潜在的可能性に関する基盤的研究
Project/Area Number |
17520379
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植田 康成 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (60009735)
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Keywords | 言語文化教育 / テクスト種ウィット / ランデスクンデ / カリカチュア / 言語変種 |
Research Abstract |
研究第2年度においても資料収集を中心として、研究を遂行した。他の連関でイドイツ語圏に赴く機会に恵まれたため、日本国内では入手しにくいウィットに関する貴重な文献、とりわけ古い時代のものを入手することができた。また、カリカチュアに関する最近の研究論文(いずれも博士論文)もコピーすることができた。 これらの文献を読んで、当研究課題が扱う事項が言語学的のみならず、社会学、政治学、民俗学、メディア論の分野においても大きな関心が寄せられつつあることを認識した。日本国内においても、ジョーク、ウィットに関する種々の研究書が公刊される状況となっていることも、当研究課題のアクチュアリティを証左するものであろう。 研究の中間報告として、2006年9月に「西日本言語学会」において、「言語文化教育素材としてのテクスト種ウィット-ウィットに見るドイツ語文法-」と題する報告を行った。そして2つの論文を公刊した(以下の「11.研究発表」参照)。 本研究課題の目的は、言語文化教育素材としてのテクスト種ウィットが有する潜在的可能性を追求することにあるが、ウィットに見る地域性、ウィットに見る民族性(国民性)等、個別的にはさらに多くの課題設定が可能である。 資料収集においては、テクスト種ウィットが成立したのが、19世紀後半であるという歴的事実をふまえるならば、その時点以後のウィット集等を収集することになるが、かなりの困難を伴うことが判明した。古い時代のウィット集がわずかしか存在しないからである。 公刊した一つの論文(「言語文化教育素材としてのテクスト種ウィット-ウィットに見るさまざまなドイツ語-」)は、頁の制限上、十分な論述ができなかった。このテーマについて、ドイツ語の変種全般を概観することを目差した、さらに十分な論述を行うのが当面の課題である。そしてウィットを素材とするランデスクンデに関する論考を試みるのが、次年度の課題の一つであることを確認した。 以上が、本年度における研究実績である。
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