2005 Fiscal Year Annual Research Report
地域(沖縄県)に根ざした英語教育の総合的研究:小学校の英語教育を中心に
Project/Area Number |
17520384
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大城 賢 琉球大学, 教育学部, 教授 (80280303)
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Keywords | 小学校英語教育 / Content-Based Instruction / イマージョン教育 / 教員研修 / 教材開発 / 英語教育特区 |
Research Abstract |
那覇市(平成15年度から文部科学省研究開発指定校)、宜野湾市(2003年度から英語教育特区)、浦添市(2004年度から英語教育特区)を中心に小学校の英語教育の現状を調査した。調査方法は教育委員会や学校で収集した資料・レポート・報告書などの精査及び授業観察、学校訪問、アンケートなどを実施して行った。那覇市は平成17年度で研究開発を始めてから3年目を迎えている。研究の特徴は指導形態の実証的研究で、市内全小学校を指導形態ごとに3つのグループ(45分授業で週1回の授業形態、30分+15分で週2回のモジュール形態、45分授業で週2回の授業形態)に分けて児童の情意面、スキル面、また、教師の意識面での比較調査を行っている。スキル面(リスニング)では、小学校で1年間英語を学んだ児童と2年間英語を学んだ児童を比較しているが、結果は1年間学んだ児童の正答率が62.5%であるのに対し、2年間学んだ児童は74.7%である。これまで小学校の英語教育の成果をスキル面から検討した研究は少なかったが、那覇市の研究は学習期間の長さがリスニング能力の差となって現れたことを示す貴重なデータである。また、指導形態ごとの比較も行っているが、ここでも45分を2回実施した児童の正答率が一番高くなっていることが明らかになった。 宜野湾市の場合は全市の小学校が1年〜2年生で週1時間、3年〜6年生で週2時間の英語授業を実施している。授業の特徴として歌やゲームから抜け出して、他教科の内容を取り入れたクロスカリキュラム的な手法が取られていることである。また、内容を重視したcontent-basedな手法も宜野湾市の特徴である。 浦添市の場合は、宜野湾市のように教育委員会による強い縛りはない。ガイドラインは示されているものの、授業時数や指導内容などは各学校の主体性に委ねられている。したがって、それぞれの学校により多様な実践がみられることが特徴である。 3市とも課題としては、教材の開発、授業技術を向上させる教員の研修などが挙げられている。 その他、他府県(金沢市、北九州市、福岡市、品川区など)で実施されている小学校の英語教育も授業観察や資料により研究した。また、オレゴン州ポートランド市リッチモンド小学校を訪問し、日本語イマージョンプログラムについての資料収集を行った。これらの事については報告書を参照して頂きたい。
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