2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者による属格の'Sおよび ofの習得
Project/Area Number |
17520386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
若林 茂則 中央大学, 文学部, 教授 (80291962)
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Keywords | 日本人英語学習者 / 形態素 / 属格 / 部分集合 / 母語の影響 / 過剰拡張 |
Research Abstract |
本年度は主に文献研究を行い、また、小規模のパイロットテストを行った。 文献研究の結果、日本人英語学習者の属格の'sの習得については研究差がるが、'sとofについて形態統語的・意味的な分析を行い、第二言語学習者による使い分けを調べている先行研究は、少なくとも主要な学術誌には掲載がないことがわかった。Shirahata(1988)は、日本人英語学習者の口頭産出における形態素使用における正用率を見るという形の、いわゆる形態素習得研究であるが、この結果では、日本語を母語とする高校生は属格の'sをかなりの割合で正しく使用しており、他の形態素より習得が早い。その理由について、Shirahata(1988)は、母語である日本語に、この形態素とよく似た振る舞いをする格助詞「の」が存在することを挙げている(その他の研究については寺内、1994を参照)。 一方、本年度に行ったパイロット研究では「の」の影響は、'sではなく、ofの使用に強く現れていることが示唆された。日本語の格助詞「の」は「N1のN2」の形でつかわれるが、N1とN2の関係は、英語の属格の'sおよびofが、それぞれ、N1'sN2、N2 of N1という形で使われる場合とは異なり、大まかに言って、格助詞「の」の用法が英語のもおよびofの用法を部分集合として含む関係にある。パイロット研究のデータからは、日本人英語学習者は、N1とN2の意味的な関係に関わらず、特にof以外の前置詞が使われるということをチャンクとして記憶している場合(例 'sinterest in history)以外は、ofを「の」に相当するものとして、過剰拡張して使用していることが伺われる。一方もは、N1とN2の意味的関係から、制約を設けて使用しているようである。 来年度はさらに様々な角度から仮説を立てデータを収集していく予定である。
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Research Products
(1 results)