2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520430
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
相良 英輔 島根大学, 教育学部, 教授 (70124071)
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Keywords | たたら / 製鉄 / 鞴(ふいご) / 砂鉄 / 技術 / 木炭 / 生産 / 鉄穴(かんな) |
Research Abstract |
今年度の研究実績として、以下の論文を発表した。 1.「櫻井家山内の成立と展開」(相良英輔監修『櫻井家たたらの研究と文書目録』奥出雲町2006年3月発行予定、所収) 2.「たたら関係史料にみる鉄の流通」(島根大学附属図書館報『淞雲』第5号、2005.12発行、所収、12-13頁) 3.「鉄の道」(道重哲男・相良英輔編集『出雲と石見銀山街道』2005.10.20吉川弘文館発行、所収、30-40頁) これらの研究成果から明らかになったことは以下のごとくである。まず第1に、たたら製鉄の山内については、これまでその性格を「隷属性・閉鎖性」にも求める見解がある一方で、村方との人的交流や流動性を主張する見解も存在した。そこで本研究では、時代によって山内の性格は変わってくると考え、まず、大量生産体制の整う19世紀以降の山内について櫻井家の史料を使って実証的に分析した。その結果少なくとも19世紀になると、村と山内では、結婚の交流や養子縁組などの交流が多数存在することが明らかになった。今度は近世初期の鉄山労働者と鉄師の関係などについて究明していきたい。 第2に、幕末の反射炉の設置とたたらの需要との関係を若干明らかにすることができた。即ち、佐賀藩は日本で最初に反射炉を設置し、大砲の生産を試みた。そして、原料としての鉄を島根県の石見地方のたたらに求めたのである。これらのことは、これまで全くわかっておらず、史料の新しい発見によって明らかになった。 第3に、櫻井家の近世以降の史料を分析して、鉄師としての成長と地主としての成長を実証的に分析することができた。
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