2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520434
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西別府 元日 広島大学, 大学院文学研究科, 教授 (50136769)
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Keywords | 大宰府 / 相撲人 / 青磁・白磁(輸入陶磁器) / 台明寺 / 日田大蔵氏 / 観世音寺 / 鴻臚館 / 出土文字資料 |
Research Abstract |
本課題研究は、平安時代中・後期の大宰府による西海道支配の実態解明とそれに対応する地域社会の動向を検討しようとするものであるが、本年度前半は南九州の台明寺創建を中心とした宗教思想の状況を、後半は大宰府を通じて召し出される九州の相撲人を追跡し、その在地領主への発展を展望するという視点のもと、豊後国日田郡の大蔵氏一族を具体例として検討につとめた。そのために、国立公文書館(内閣文庫)や東京大学史料編纂所ならびに国会図書館・東大寺図書館などで、主として平安時代の貴族の残した日記類の諸本の校合を実施した。このうち天永2年8月に開催された相撲召合に参上した大蔵季貞については、諸日記や大蔵氏系図とのあいだに異同があるので、諸日記の諸本に遡及して調査した。現段階では、諸日記の諸本を校合するかぎり諸本の異同は確認できず、諸日記間で異同があることが確認できる。その異同が記主の記憶違いなどによるものかどうか、今後検討する必要がある。また対外交易の窓口としての北部九州地域の情況を考えるために、地域資料の収集にもつとめた。このうち埋蔵文化財関係の資史料収集のため、福岡市埋蔵文化財センター、九州歴史資料館、別府大学文化財研究室、日田市埋蔵文化財調査センターなどを訪れ、輸入陶磁器(青磁・白磁)の流通状況や出土文字資料など資料の収集につとめた。また同時に、九州古代史関係の先行研究を調査し、文献を収集するために福岡県立図書館郷土資料室、九州大学附属図書館、福岡大学附属図書館などでの調査を実施した。さらに、フィールド調査としては、平安時代における対外交易の玄関口としての鴻臚館や大宰府史跡、時代はややさかのぼるが福岡市元岡遺跡、平安時代後期の大蔵一族にかかわる日田市内などで、輸入陶磁器の出土遺跡や、関連地名遺称地などを対象として実施した。
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