2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
市村 高男 高知大学, 教育学部, 教授 (80294817)
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Keywords | 土佐一条氏 / 加久見氏の居館 / 加久見城・加久見上城 / 貿易陶磁器 / 港湾 / 交易 / 豊後水道 |
Research Abstract |
本年度は、土佐一条氏最大の支柱であった加久見氏の本拠地の発掘調査を行った。居館や家臣団屋敷があると推定した加久見城・加久見上城の間の谷では遺構を確認できなかったが、加久見上城の南麓から家臣団屋敷と見られる建物跡の一部、15世紀後半の貿易陶磁器の破片やカワラケ片を検出した。また、加久見城の西麓から加久見氏居館の付属施設の一部と見られる遺構や、一括投棄された多量のカワラケ片を検出し、さらに加久見上城の西麓から、礎石・柱穴や多数の石仏・石塔が確認され、加久見氏の氏寺泉慶院跡である可能性が高まった。まだ加久見氏居館の本体を検出してはいないが、加久見氏の城を中心として居館・家臣団屋敷群・寺社群が存在したことが明らかになってきた。 発掘調査と並行して港湾調査も行った。現在、加久見城跡の西側を南流する加久見川の流れは、近世前半の改修によって造られた流路であり、それ以前は加久見盆地の中央部から居館推定地の前面を流れていたこと、加久見川はこの地域屈指の港湾越浦に流れ込んでおり、近世以降、越浦の3分の2が干潟化したが、それ以前は奥深い湾になっており、加久見川を遡った船がたやすく加久見氏の居館付近まで到達した可能性が高いことなども分かってきた。さらに文献史料の読み込みから、加久見氏が越浦ばかりか中浜・清水・三崎など周辺の良港をも掌握していたこと判明し、加久見氏が水軍として土佐一条氏の対外交易において重要な役割を演じていた様子が浮かび上がりつつある。また、土佐一条氏が豊後の大友氏や日向の伊東氏と婚姻関係を結んでいたこと、「臼杵全」知行地が宿毛湾頭に存在するなど、豊後水道を挟んだ四国西岸と九州東岸との密接な交流の様子も明らかになりつつある。
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Research Products
(4 results)