2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
荻 慎一郎 高知大学, 人文学部, 教授 (60143070)
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Keywords | 日本近世史 / 鉱山史 / 薩摩藩 |
Research Abstract |
1、本研究は、近世における薩摩(鹿児島)藩領の鉱山について、その概要を明らかにして、その実証的研究を進めるものである。平成17年度は、領内最大の長野(山ケ野)金山について、これまでの研究、史料残存状況の現状を把握するとともに、史資料調査・収集、現地史跡の調査を実施した。さらに本年度中に得られた知見については、その一部を学術誌『まてりあ』(日本金属学会報)の特集「わが国の鉱業の過去、現在そして未来」に「近世日本の鉱山-薩摩藩領長野(山ケ野)金山の開発と寛永20年の閉山を中心に-」の題目で投稿し、採用されて現在印刷中である。その内容は、寛永17年に開発された同山が稼行3年弱で一旦閉山された背景として、これまでの通説である幕府の「嫉視」説より、むしろ全国的な飢饉との関わりが問題であり、閉山の半年前に幕府より飢饉との関わりで示唆されていたこと等を、史料に基づき明らかにした。 2、史料および文献の調査・収集として、本年度は鹿児島県歴史資料センター黎明館および鹿児島県立図書館において実施した。また、尚古集成館において長野(山ケ野)金山関係の近世に関わる史料残存状況に調査した。さらに、九州大学九州文化史研究所において史資料調査を実施、また同時期に開発されている対馬藩領鉱山について、金掘りの移動の有無を確認するため長崎県立対馬歴史民俗資料館の宗家文庫を調査した。 3、現地調査として、長野・山ケ野金山のうち山ケ野地区の近世における間歩や諸施設の所在地を確認する調査を実施し、併せて地元研究者から研究状況等を聴取するともに、交流を図った。 4、刊行史料である『鹿児島県史料』の「薩藩旧記雑録」から鉱山関係史料を摘出し、その史料整理・分析を進めるとともに、デジタルカメラで写真撮影した未刊行史料についてもプリント化して史料整理を進めた。
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Research Products
(2 results)