2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日朝関係史再考-宮本小一の朝鮮論と宮本が進めた日朝修好条規(「江華島条約」)
Project/Area Number |
17520445
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
諸 洪一 Sapporo Gakuin University, 人文学部, 教授 (60274403)
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Keywords | 宮本小一 / 江華島 / 日朝修好条規附録 / 通商章程 / 遊歩規定 / 公使館 / 幕臣 / 開国 |
Research Abstract |
3年目の平成19年度は、宮本小一の足跡を辿る調査を優先的に行い、各地の資料の精査と収集に力点を置いた。各地の調査の実績は次の通りである。 1.韓国 近代朝鮮の黎明の活劇上となる仁川と京仁街道は、江華島条約附属条約締結の際に海軍士官等によって踏査された道であったことを確認した。現在の京仁線は、傾斜の少ない平坦な路線でありほとんどが各都心の真ん中を貫きながら高層ビルと防音壁に囲まれている。花房義質が開拓したとされている仁川と京仁街道の近代化は、すでた宮本の使行によって始まっており、近代朝鮮の黎明における宮本使行の意義に照明を当てることは重要であると考える。 日本公使館の嚆矢となる「清水館」に関する資料は、東明女子高等学楼の鄭然國校長が多数所蔵していることを確認し、本研究への協力を得ると共に、今後も交流を深めることにした。 これまでの研究結果は、韓国国史編纂委員会のワークショップで報告すると共に、ソウル大学校の李泰鎮先生や釜山大学校の金東哲先生とも意見交換と助言を得ることができた。 2.日本 会津若松や新潟県など幕府軍縁の地を尋ねたが、宮本に関する直接的な資料の収集は閑難であった、『杜鵑蹄血帖』(史料編纂所所蔵)の記述にある、上野彰義隊墓前に建つ2基の献灯を確認し撮影した。東京の染井霊園の協力で宮本家に間接的に接触できたが、小一の父方(醇庵)の資料が某大学の研究者(匿名)に寄贈されたことを確認したのみであった。お墓の撮影は許可され、碑文から小一の出自に関する若干の情報を得るに止まった。 主として外交史料館の史料を閲覧し、宮本に関する公刊、未公刊資料の編纂上の幾つかの疑問点にういて、外交史料館編集委員の原口邦紘氏の助言を得ることができた 総括 以上の研究結果は、韓国国史編纂委員会だけでなく札幌学院大学社会連携センターコミュニティ・カレッジ(2007年5月11日)や札幌韓国教育院の特別講演(2007年11月7日)において市民講座として提供した。
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