2006 Fiscal Year Annual Research Report
隷属民・賎民の特質・変遷からみた日本古代社会構造の研究
Project/Area Number |
17520447
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
榎本 淳一 工学院大学, 工学部, 教授 (80245646)
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Keywords | 日本史 / 東洋史 / 基礎法学 / 律令制 / 身分制度 |
Research Abstract |
本年度の研究については、1.基礎史料調査、2.論文作成、3.研究発表の順に説明したい。 1.基礎資料調査 本年度は、日本古代の賤民史料と唐代賤民史料の調査を計画した。日本古代の賤民史料については、東大寺から流失した奴婢関係文書の調査を行う予定であったが、調査対象としている古文書の多くが個人蔵で現存する所蔵場所の特定に難航しており、今年度は残念ながら目立った成果を挙げることができなかった。 それに対し、唐代史料については、主に法制関係の抄本史料にねらいをつけ、国立国会図書館所蔵の北平図書館所蔵善本膠片中の唐代史料の調査を行い、静嘉堂文庫、京都大学人文科学研究所所蔵の史料との関係や違いなどについて検討を行った。この結果として、『唐大詔令集』所収の改元天復赦中の賤民関係記事に通行本(版本)との相違を見いだすことが出来、その違いの意味について現在検討している。 2.論文作成 本年度は、奴婢の外国貿易と『新唐書』百官志中の賤民記事についての論文作成を企図した。前者については、作成途上において、本研究で構想していた内容とかなり重なる内容の研究が森安孝夫氏(大阪大学)によって発表されたため、現在内容の再検討を行っている。 後者の研究は、無事まとめることが出来、次項に述べるように、海外において発表することができた。 3.研究発表 2006年9月25日、上海師範大学で開催された「唐宋時期的法律与社会」という国際学会において、「『新唐書・百官志』中的官賤民記載」(中文ペーパー)という題名で研究発表を行った。なお、同学会において「試論晋南朝村落之形態」という研究発表に対する評論発表も行った。 2007年1月27日、東京大学山上会館で開かれた「日唐律令比較研究の新段階」研究会において、「唐關市令の朝貢・貿易管理規定の復原について」という題名で口頭報告を行った。
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Research Products
(1 results)