2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520463
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川合 安 Tohoku University, 大学院・文学研究科, 教授 (30195036)
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Keywords | 中国史 / 魏晋南北朝時代 / 六朝時代 / 貴族制 / 官僚制 / 官吏登用制度 |
Research Abstract |
「六朝貴族制」学説について、代々高官を輩出する家柄の存続を保証する制度が存在したのか否か、あるいはそのような制度によって確定した家柄の等級(家格)が存在したのか否か、という「貴族制」概念の根本にかかわる観点から推し進めてきた学説史の検証の成果を総合して公表することが、本年度における研究の中心であった。 「六朝貴族制」学説は、主として日本の学界で主張され支持されてきた学説であり、そこには日本史上の貴族概念の投影がみられるのであるが、その点の指摘をふくめ、内藤湖南以来の「六朝貴族制」学説を家格についての見解を中心に整理して、中国・武漢大学で開催の魏晋南北朝史国際学術研討会で口頭発表するとともに、『史朋』第40号に公表した。 上記の学説史の検証と並行して、東晋琅邪王氏墓誌の研究を推し進め、典型的名門貴族である琅邪王氏であり、しかも祖父が高位高官にあった場合でさえ、仕官や婚姻において不利な状況に置かれていた実例から、家格よりもむしろ父の官職のほうが重視されていたと考えざるをえないことを明らかにし、『東北大学東洋史論集』第11号に公表した。さらに、貴族制学説の論拠とされてきた唐・柳芳の「氏族論」の記述が、必ずしも六朝時代の実態を正確に反映したものではないことを明らかにし、20年3月刊行の研究成果報告書に掲載した。なお、この報告書には、『史朋』『東北大学東洋史論集』に公表した論文も収録しさらに、秦漢から六朝・隋唐にかけての官僚制・貴族制にかかわる文献目録も附した。
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Research Products
(3 results)