2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520464
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 稔弘 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (10333907)
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Keywords | 中国 / 近現代 / 少数民族 / 民族問題 / 公文書 / 辺疆 |
Research Abstract |
平成18年度は、前年度の成果をふまえて補充調査を行うとともに、最終年度として成果のとりまとめを行った。まず前年度の調査における資料収集状況をふまえて、台湾を中心にさらなる調査・収集を行った。民国期の公文書資料を所有する国史館については、資料検索システムの整備が進んだことからより詳細な検索を行い、蒋総統文物とう案を中心にいくつかの重要な公文書資料をPCによる書き写しで収集した。特に前年度調査で重要性を確認した戦中期の蒙藏委員会委員長呉忠信に関しては、その辺疆政策に関する立案・提言類を中心として、内蒙古及び新疆における戦中・戦後期にかけての幾つかの重要書類をさらに収集した。そのほか国家図書館や政治大学社会科学資料センターで新聞、報告書などの検索・収集を行った。日本では外務省外交史料館などにおいてアジア歴史資料センターの公開資料に未収録の資料について検索、閲覧、収集を行った。本年度は収集した資料をもとにして学会等で3つの研究報告を行った。一つは呉忠信が終戦直前に新疆省主席に就任した際、東トルキスタン共和国(イリ三区革命)勢力と対峙する中で提唱した新疆分割論について分析を加えたもの、もう一つは呉忠信による「辺政計劃草案」や「収復論陥蒙旗及戦後蒙藏政治設施方案」といった立案・提言をもとに戦後辺疆民族政策構想の形成過程を分析したもの、そして戦後の憲法制定国民大会における辺疆民族代表による高度自治要求への対応をめぐる国民党と中国共産党の動向を分析したものである。また収集した資料情報については今後のさらなる資料検索・収集にむけてデータベース化を進めた。
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