2005 Fiscal Year Annual Research Report
明代出版史の定量的分析を可能にするための日本現存明版書誌研究
Project/Area Number |
17520469
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 進 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (40168448)
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Keywords | 明版 / 出版史 / 明代出版文化 / 明代史 / 目録学 / 書誌学 |
Research Abstract |
本研究の根幹をなす日本現存明版書誌の調査については、二四〇余点の閲覧と書誌収集をおえ、当初の計画よりも、二割程度多くの数をこなすことができた。またその内容についても、成簣堂文庫や大倉集古館、足利学校遺跡図書館等に蔵される明初中期刊本をはじめ、七〇点足らずの正徳以前刊本を実査しえたことは、大きな収穫であった。またこれ以外の一七〇余点についても、そのうちには今まで同版と考えられていたものが異版であるとか、あるいは逆に、異版として著録されてものが同版であると判明した事例、また封面や序跋などに、出版業者の活動や出版風気の変遷についての言説を見ることができる、出版史研究にとって有用な史料を提供するものが多く含まれており、やはり相当の成果を挙げることができた。ただしこの書誌を整理して知見目録化する作業については、ようやく一七〇点のパソコン入力を果たしえたにすぎず、来年度以降により大きな努力が求められる結果となった。 なおこの知見目録化であるが、当初の計画でも述べたように、今までに蓄積されている約一九〇〇点を含めた、すべての所見明版の編目をこれからの三年で完成する、というのは現実的でなく、よって編目の重点は正徳以前刊本に置くこととする。これにつき、当初の計画では経史二部の目録化を目標に掲げたのであるが、それよりは所見明代前半刊本全体の編目を果たすほうが、明代出版史、あるいは書誌学の研究にとって、より大きな意味をもちうると判断したからである。 また本研究を通じてえた知見は、下記第十一項に掲げた論文等のうちに利用され、その成果の一端を示すことができた。
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Research Products
(6 results)