2006 Fiscal Year Annual Research Report
「マニラ公正証書原簿」に見るスペイン領フィリピン社会の変動期に関する研究
Project/Area Number |
17520475
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅谷 成子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90202126)
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Keywords | 東南アジア史 / フィリピン / マニラ / スペイン植民地 |
Research Abstract |
本年度は、本研究計画(4年間)の第2年度であった。まず、昨年度に引き続いて、先行研究および入手ずみの資・史料を整理・分析した。これらの作業の成果について、その一部を、東京グリーシパレスにおいて開催された"The 1st Philippine Studies Conference of Japan(第1回国際フィリピン研究学会アジア地区日本大会)"において、"Chinese Immigrants in the Spanish Philippines : Looking through the Story of Hay Bing or Juan Imbin of Caysasay, Taal, Batangas"と題した報告を行った(11月12日)。さらに、フィリピン・マニラ首都圏で開催された"The 19th International Association of Historians of Asia Conference(第19回国際アジア歴史研究者会議)"において、"Chinese Mestizo Women in the Late Eighteenth Century Spanish Philippines : Their Role in the Survival of Chinese Society"と題する報告を行った(11月24日)。これらの報告においては、スペイン領フィリピン社会の変動期を特色づける中国系メスティーソの植民地社会における析出について、スペイン植民地統治政策と中国人移民とを繋ぐものとしての現地社会の存在に着目し、婚姻を通じた現地の女性との関わりを「マニラ公正証書原簿」に見られる事例の分析等により具体的に示し、また、中国人移民と諸島住民とを繋ぐものとしてめカトリック信仰の重要性を指摘した。これらの機会には、東南アジア史・フィリピン史研究者と意見交換を行った。 また、IAHA後、フィリピン国立文書館およびマニラ大司教座文書館などにおいて、史料調査を行って「マニラ公正証書原簿」の一部、および関連する手稿文書史料等を、主として電子複写により収集した。本年度は、校務との関係もあり、フィリピンにおける史料調査・収集作業は限られた期間乏なった。また、上記の国際会議において発表した報告は、雑誌論文として発表するに至っていないが、今後、さらに分析を加えて、雑誌論文として公表したい。
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