2007 Fiscal Year Annual Research Report
「マニラ公正証書原簿」に見るスペイン領フィリピン社会の変動期に関する研究
Project/Area Number |
17520475
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅谷 成子 Ehime University, 法文学部, 教授 (90202126)
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Keywords | 東南アジア史 / フィリピン / マニラ / スペイン植民地 |
Research Abstract |
本年度は、4年間にわたる本研究計画の3年目であった。まず、昨年度に引き続いて、これまでに収集した「マニラ公正証書原簿」の整理・解読・分析作業を行い、スペイン領フィリピン社会の変動期の諸相の解明に資する基礎的なデータの抽出に努めた。 これらの作業によって得られた知見に、先行研究および関連のスペイン文書の分析を合わせて検討を行い、その成果の一部は、2007年8月2日のマレーシア・クアラルンプールで開催の第5回国際アジア研究者会議(ICAS5)での報告、および、2007年11月17日に慶応大学三田キャンパスで開催された「日本華僑華人学会」の「2007年度全国大会」での報告に生かされた。これらの報告では、スペイン領フィリピン社会の変動期の統治を特徴づけるカトリシズムの重要性を指摘し、その下での中国系住民の変容および現地の一般住民との関係を「マニラ公正証書原簿」等から抽出したデータを参照しながら、その具体的な諸相の一端を示した。 本年度の現地調査として、2007年9月19日から28日の10日間の限られた日程ではあったが、フィリピン国立文書館における「マニラ公正証書原簿」の調査および収集を中心に、マニラ大使教座文書館においても関連する史料の調査および収集作業を行った。現在、それらの収集した「マニラ公正証書原簿」等の整理・解読作業を行っている。 また、2006年11月の国際学会で報告した内容を文章化して公表するとともに、スペイン領フィリピン社会の変動期が「スペイン帝国」に、どう位置づけられるのかの検討を加えて「スペイン領フィリピンにおける中国人統治とカトリジズム-近世スペインの『他者』認識の周辺-」を著した。
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