2008 Fiscal Year Annual Research Report
「マニラ公正証書原簿」に見るスペイン領フィリピン社会の変動期に関する研究
Project/Area Number |
17520475
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅谷 成子 Ehime University, 法文学部, 教授 (90202126)
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Keywords | 東南アジア史 / フィリピン / マニラ / スペイン植民地 |
Research Abstract |
本年度は、4年間にわたる本研究計画の最終年であった。まず、昨年度に引き続いて、これまでに収集した「マニラ公正証書原簿」の整理・解読・分析作業を行って、スペイン領フィリピン社会の変動期の諸相の解明に資する基礎的なデータの抽出に努めた。 本年度の現地調査として、2008年11月27日から12月7日まで約10日間の日程でフィリピン国立文書館において「マニラ公正証書原簿」の調査および収集作業を継続した。 これらの作業によって得られた知見に、先行研究および関連のスペイン文書の分析を合わせた検討を行い、その成果は、2008年7月23月のフィリピンのマニラ首都圏ケソン南で開催の第8回国際フィリピン研究会議(ICOPHIL)での報告、および2009年3月11日にフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学で開催されたワークショップでの報告に反映することができた。 これらの報告では、これまでの研究成果のまとめの一環として、スペイシ領フィリピン社会の変動期においてはカトリシズムの重要性が増大したことを指摘するとともに、当該期のマニラは、様々の人びとが集う港市であったことを「マニラ公正証書原簿」等から抽出した事例を参照しながら具体的に示した。またこれらの多様な人びとの活動を保証するものとして、スペイン領フィリピンにおける公証制度が機能していたことを指摘した。 さらに、研究成果め一部として「『マニラ公正証書原簿』からみたスペイン領フィリピン社会」を著して、フィリピン社会の変動期の諸相の一端を具体的に示すとともに現存の「マニラ公正証書原簿」の成立の経緯を解明し、その史料的価値を明らかにした。
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