2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17520477
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川本 芳昭 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 教授 (20136401)
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Keywords | 世界秩序 / 世界システム / 遣隋使 / 小野妹子 / 倭国 / 白村江 / 天皇 / 遣唐使 |
Research Abstract |
報告者は、本研究において(1)北魏とおなじく鮮卑族に起源をもつともされる契丹・遼の中国文化受容にともなう変容の比較研究、(2)中国中南部の非漢族の中国化の実態追求、(3)邪馬台国・倭の五王の時代と展開する古代日本の歴史において、倭国と中国化の問題がどのような関連を有するのかといった問題の解明を目指している。昨年度は(1)の問題について考察し、本年度は(2)の問題について考察ずることとしていたが、国際学会などからの招聘をうけ、(3)の問題についての研究を優先した。 これに関連して本年度は論文3編を刊行、国際学会での招待報告を3回にわたっておこなった(中国2、韓国1)。 このうち、「魏晋南朝の世界秩序と北朝隋唐の世界秩序」と題した論考が今年度の成果を総合したものであるので、それに沿って本年度の成果を総括する。 古代日本においては中華意識の形成がみられるが、その軌跡を五胡・北朝・隋唐に至る中国史の展開と比較するとき、秦漢魏晋的秩序から見ると、同じく夷狄であったものが、それぞれに「中華」となるという点で、両者は相似た軌跡を描いたことを明らかにした。そしてこの軌跡の類似は、決して偶然に生じた類似ではなく、五胡・北朝・階唐と古代日本は、秦漢帝国を母胎として、その冊封を受けるという形で魏晋南朝的システムの中から成長し、それを突き崩しつつ出現した、という面で共通した側面をもつ国家群であったといえるという点をも明らかにした。
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