2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国近代外交史の基礎的研究-19世紀後半期における出使日記の精査を中心として-
Project/Area Number |
17520478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
岡本 隆司 京都府立大学, 文学部, 助教授 (70260742)
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Keywords | 外交 / 出使日記 / 公使 / 領事 / 在外公館 |
Research Abstract |
本年度はまず、1870年代末より各国の在外公館に赴任した中国外交官が残した、執務日誌・日記体報告書である出使日記と総称する史料の調査に意を注いだ。現存する出使日記の、異本もふくめた網羅的な収集をめざし、同時に、在外使節と出使日記の対応関係のリストアップ、関連史料の調査収集、それぞれの分析をも並行して行った。 国内および台湾・アメリカでの調査を経て、駐英公使の郭嵩〓や曾紀澤、駐米公使の張蔭桓など、いくつかのものについて具体的な校合・解析・入力の作業をすすめつつ、清末時期の出使日記にかかわる全体的な見通しを得ることができた。その成果の一端は、「清末の在外公館と出使日記」と題して、国際政治学会(2005年度研究大会)で報告を行った。ただし全体としては、なお作業の途上にあって、データベースの構築も着手したばかりである。 その一方で、研究代表者が従来からとりくんできた外交史プロパーの研究との接続をはかった。各種研究会に参加し、また川島真と共同で組織する中国近代外交史研究会を開催して、本研究の活動を公開しつつ、ひろく明清史・近代史・外交史研究と関連づける活動を行った。書評・論文などで外交史に関わる問題をあっかったほか、日清戦争後の清韓関係を中心に国際政治を考察した、「独立と自主のあいだ」と題する研究成果を東方学会(第55回会員総会シンポジウム)で報告し、また19世紀後半期の中国・日本で領事と公使をつとめたオルコックを考察する「イギリス帝国と東アジア」を洛北史学会定例大会で報告し、比較史的な検討もすすめた。
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