2007 Fiscal Year Annual Research Report
地方志及び碑記史料の解析を主とした宋〜清の中国東南沿海地方における地域性と歴史性
Project/Area Number |
17520481
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
須江 隆 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (90297797)
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Keywords | 地方志 / 碑記 / 史料論 / 宋〜清 / 中国近世地域史 / 中国東南沿海地方 / 国際情報交換 / アメリカ:ドイツ:イギリス |
Research Abstract |
本年度はこれまでの2年間の基礎的研究作業をベースとした成果を内外に発信するとともに、史料解析を主とした発展的研究へ飛躍させることに務めた。具体的な研究実績は以下の通り。 1.「中国地方志集成」「石刻史料新編」等の現有設備や、新規購入の「中国地方志関係図書」「中国石刻関係図書」を中心として、地方志及び碑記史料を皆尽的に調査・蒐集し、内容・項目・種類ごとに、各地方行政区画別に分類の上、系統的に整理する作業を継続した。本年度は特に寧紹地区に焦点を絞り、上記作業を遂行し、幾つかの個別史料の具体的解析も行った。 2.寧紹地区の地方志・碑記史料に関しては、上記1.の解析に加え、清朝考証学者の研究成果を、各種地方志や文集、録文集等より蒐集・読解し、研究史整理の一環として位置づける試みを行った。特に紹興府に関しては、従来判然としなかった該地の地方志の叙述と碑文との連関性が明らかとなり、当該史料の特質や該地の地域性解明に結実し得る成果を生み出した。この成果は、今後これら史料を活用する際には、必ず研究者が参考に資すべき意義を有すると思われる。 3.一方、地方志・碑記史料を駆使した従来の内外の研究史を整理し、宋代地域史料を活用するにあたっての課題や可能性を明確にした。その成果は、7月に九州大学で開催された「日本宋史研究の現状」に関する研究集会で発表された他、中国語訳された論文が近々に公刊されることが確定した。史料論的研究に秀でた我が国の宋史研究の現状が海外に発信されるのは、重要度が高い。 4.更に昨年度までの成果が、複数の内外学術雑誌等に掲載乃至は掲載されることが確定した。また上記1.2.に関わる成果の一部を、9月に開催された第38回国際アジア・北アフリカ研究会議(於:トルコ共和国アンカラ)で、英語にて口頭発表した他、英文及び日文で学術雑誌等に公表した。
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