2008 Fiscal Year Annual Research Report
地方志及び碑記史料の解析を主とした宋〜清の中国東南沿海地方における地域性と歴史性
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17520481
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
須江 隆 Nihon University, 生物資源科学部, 准教授 (90297797)
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Keywords | 地方志 / 碑記 / 史料論 / 宋〜清 / 中国近世地域史 / 中国東南沿海地方 / 国際情報交換 / アメリカ:イギリス:フランス:中華民国 |
Research Abstract |
最終年度に当たる本年度は、発展的研究作業の完成と4年次にわたる研究成果の総合化をはかった。具体的な研究実績は以下の通り。 1.前年度から継続している、地方志の系統的分析及び序跋文や実際の叙述に関わる史料論的解析を精力的に行い、碑記史料についても同様の作業を継続した。特に本年度は寧波府に焦点を当て、これまでの蘇州府・紹興府に関する成果とあわせ、「宋〜清の中国東南部における地方志・碑記史料の皆尽調査と系統的分析、史料論的解析に関する研究」の実現に向け、研究成果の総合化に努めた。 2.異分野領域との連携を意識し、本研究の意義や将来的ビジョンを、シンポジウムの場などを利用して明確化した。具体的には、9月に高知大学で行われた国際研究集会「外交史料としての日記・文集・碑文・文書」や12月に愛媛大学で開催された社会史研究法に関わる国際研究集会に参加して討論を行ったり、成果の一部を発表したりした。地方志の史料性を明確化し、今後の社会史研究の可能性を明確化できた点は重要である。 3.本年度1月に東京大学で開催された、地方文献史料に関する大々的な国際シンポジウムにて、多国籍からなる海外研究者を複数交えたパネルを組織し、寧波府の地方志と碑記の記述的連関性と連続性に関する成果を公表した。上記2.で言及した社会史研究の方法が実践され、その成果が海外の研究者にも発信されたことは、意義を有すると思われる。 4.4年次にわたり行われた本研究の全成果は、本年度までの研究で十二分に着手できなかった地域の地方志・碑記に関する史料論的研究を加え、将来的に著書のかたちで公刊をし、大方からの批判を仰ぎたいと考えている。
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