2007 Fiscal Year Annual Research Report
18〜20世紀における北京のライフラインと都市の社会経済構造に関する研究
Project/Area Number |
17520482
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
熊 遠報 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (50386588)
|
Keywords | 北京 / ライフライン / 生活用水 / 契約文書 / 都市 / 社会経済構造 |
Research Abstract |
この課題はライフラインの側面から中国の伝統都市の社会経済構造を解明する研究である。本年度では、2007年8月12日-9月9日、2007年12月23日-30日、北京に出張し、関連の資料を収集し、研究対象地域を現地調査し、北京大学等の学者と研究情報等を交換した。その主要な内容は、北京の上下水の供給・処理に関する文書および上下水の供給・処理の労働者に関する新聞記事、都市景観などの文献資料、写真等を継続的に収集し、また聞き取り調査を含み、20世紀前半までの北京市住民の下水の処理状況、下水業者に関するイメージの形成、および下水の供給・処理と北京の旧市街との関係を継続的に調査したのである。 研究は、主に15-20世紀における北京の下水処理の実態、「糞道」という権利の形成および権利の特質、「糞道」の所有者・従業者の出身地、出稼ぎ労働者と農村人口の都市流入過程、人糞とゴミ処理、都市社会生活全体との関係、都市の施設と生活環境、近代的な北京市政の成立と制度の変遷、都市の経済構造、社会秩序などの問題を中心に考察し、二つの論文にまとめた。 (1)「排泄物との格闘-15世紀-20世紀、北京における人畜の排泄物の処理システムの成立について-」(汲古書院、2007年)、(2)「『糞道』とされた胡同-十八-二十世紀前半の北京における排泄物の処理と糞夫」(東京大学出版会公刊予定、2008年)。以上の研究は、先行成果があまりないといえる領域の基礎的作業であり、また収集した資料および展開している研究視点などは、新しい研究方法の模索、新しいデータの再構築と繋がると考えられる。
|